48000870.jpgみなさんは日々の練習をどのように行っているでしょうか?きちんと練習メニューを組んで体系的にする方もいれば、直感的にしている方もいると思います。どちらにもメリットはあると思いますが、それでも長年練習していると、どうしてもマンネリ化してしまい、知らず知らずに同じことの繰り返しになってしまいます。今回はそういったマンネリを抜け出し、ギターに対する新たな興味をかきたてる手助けになるヒントを、いくつか考えてみました。


■曲を途中から演奏してみる
いつも曲を冒頭から最後まで通しで練習する人は、ミスや状況の変化に極めて弱くなります。ちょっとしたはずみで、すぐにどこを弾いているかわからなくなり、止まってしまうのです。
ABCのパートに分けられる曲ならBやCのパートから練習してみる、フレーズごとに細分化して途中から練習するなど、順番に変化をつけて練習することは、曲の全体像を理解するのにかえって効果的です。記憶をより確実にする効果もあるでしょう。


■練習の順番を変えてみる
最初必ず基礎練習からスタートする人もいれば、いきなり曲の練習からスタートする人もいますが、普段とはあえて順番を変えてみると普段と調子が変わって新鮮かもしれません。いきなり新曲の練習を始めたり、調子が乗ってきたころに基礎練習をしてみたりすると、いつもとは違う気分で取り組めると思います。
名手デヴィット・ラッセルは朝ベッドから出るなり即座にギターを取って演奏する、という練習をしていたと聞いたことがありますが、そういう自分自身の意表をついてみるというのも、変化があって興味深いでしょう。


■練習の環境を変えてみる
いつも同じ部屋、同じ場所で練習していませんか?
もし発表会その他で演奏するなら会場の環境は自分の部屋とは大きく異なります。音の響き方から椅子の高さも違いますし、冷え込んだり暑かったりすることもあります。実際ギター教室でも「家ではうまく弾けるのに、教室に来るととたんに弾けなくなる!」とおっしゃる人も多いのです。時には練習する場所を変えて、違う環境で弾いてみると「現場対応力」を付けるいいイメージトレーニングになります。まずはいつもとは逆の方向に椅子を向ける、違う高さの椅子を使ってみる、など簡単なものでもいいですよ! 


■ギターの構え方を変えてみる
足台を使っている人なら、足を組んで弾いてみる、ギターレストなどの支持具を使ってみるなど、普段とは違う構え方をしてみましょう。これも自分の構え方を変えるためというより、「違う構え方で自分の演奏や力の入り具合にどんな変化が起きるか」を分析するためです。意外と弾きやすく感じたり、逆に弾きにくかったりと、メリット、デメリットがわかってくると思います。極端な例では寝転がって弾いてみると、腕の力の入り方が変わっておもしろいと思います!


■運指を変えてみる
普段使っている運指は本当に自分に合った合理的なものでしょうか?ひたすら弾きまくるより、立ち止まって別の運指の可能性も考えてみることはとても大切です。複数の版を手に入れることのできる曲なら、別の版の運指を参考にしてみてもいいでしょう。今まで全く弾けなかった部分がちょっとした運指の変化で簡単でより音楽的になることも多々あります。私の経験上、一度覚えた曲の運指を変えるのを嫌がる人は多いのですが、一度考えてみる価値はあると思います。



■ 強弱やテンポを変えてみる
楽譜に記載されている強弱やテンポ変化の記号はもちろん、記載されていない部分でも様々な変化の可能性を試してみましょう。たまには書かれていることと、全く逆のことをやってみるのもおもしろいでしょう。たとえばピアノの指示のあるところをフォルテで弾いてみるなど・・・実際の演奏でそうするわけではなく、そのような変化を付けることで曲に何が起こるのかを確認してみるためです。失敗を恐れずに練習でいろいろと試してみることが大切なのです。



■ 同じ曲ばかり練習しない
発表会やコンクールなど、大事な演奏機会があると同じ曲ばかり 5回6回と繰り返して練習してしまいがちです。そういった練習方法はテクニックの固定化をまねき、気分的にもマンネリ化して新しい発見が何もなくなってしまいます。以前弾いていた曲をおさらいしたり、全く関係のない曲や練習曲を譜読みしてみたりしてみると、テクニックのバランスもとれ、演奏上の新しいひらめきが生まれるかも知れません。


・・・以上、いかがでしょうか?
音楽の本質は変化にあると思います。「完璧な演奏」を目的にして、同じ練習を繰り返すのではなく、自分の演奏をどう変えていくか?を目的として練習を考えていくと、次第に生き生きとした音楽を奏でることができるようになるでしょう!