前回はカルカッシ25のエチュード第2番を取り上げましたが、続いてエチュード第3番も説明しましょう。
こちらもアルペジオの練習曲ですが、25のエチュードの多くはアルペジオを取り上げており、カルカッシがギター・テクニックの要として重視していたことがわかります。

カルカッシno3


■和音は同時に押さえる
まず第2番と同じく、和音は同時に押さえる習慣をつけましょう。楽譜の1拍目の括弧で示した音の押さえは完全に同時に置きます。続く2拍目の1弦の押さえは少し遅れて置いてもいいでしょう。

■上声の旋律を浮き立たせる
このアルペジオのパターンでは2拍目と3泊目にが上を向いた四分音符が置かれていますが、これは上声の旋律を表しています。下に書いた旋律がきれいに浮き上がって聞こえるように、aの指で弾かないといけません。aの指の弦への当て方や角度、強さをimの指とは差をつけて、音を区別できるように意識しましょう。
3拍目の上声は正確には四分音符ですが、無理に消音せずに自然に減衰させた方がいいでしょう。

カルカッシno3(1)


■デクレッシェンドの意味
またデクレッシェンドの記号が2拍目から3泊目にかけてて常に付けられていますが、これは2拍目の上声が和音に対する倚音(アポジャトゥーラ)であるためです。倚音とは簡単に説明すると、その和音に本来含まれない音(非和声音)のことで、緊張感のある音色で演奏されるべき音です。通常、倚音が含まれた和音は続いて、隣り合った和音本来の音につながって緊張感がやわらげられます。この曲ではAからBへの流れがそれにあたるため、常に上記のようなデクレッシェンドが付けられています。

緊張→緊張緩和の流れは単に強弱だけの問題ではなく、こればかりは実際に弾いて体感しないと理解しにくいでしょう。下記のように同時に和音を鳴らしてみて、2拍目と3拍目の和音の緊張感の違いを感じ取ってみましょう。

カルカッシno3(2)


このような例はカルカッシ25のエチュードの他の曲でも繰り返し見ることができるので、見つけたらその都度チェックしていくようにすると、自然に和声を演奏する感覚が身についていくでしょう。


カルカッシ25のエチュード第1番覚え書き
カルカッシ25のエチュード第2番覚え書き
カルカッシ25のエチュード第7番覚え書き
カルカッシ25のエチュード第8番覚え書き
カルカッシ25のエチュード第12番覚え書き


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