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昨年亡くなったR.ディアンスの新しい楽譜が出版されたようですが、なんとA.ピアソラのタンゴ編曲集!タイトルも「ザ・ラスト・タンゴ」というところが泣かせます・・・なんとなく「タンゴ・アン・スカイ」からの一連のディアンスの作品の歴史の終止符という気がして・・・学生時代から入れ込んでよく取り上げて演奏していたディアンスの最後の編曲集が、いま私が力を入れているタンゴ、しかもピアソラというのが運命的なものを感じて、さっそく取り寄せてみました。

収録曲は、全10曲
1.アディオス・ノニーノ
2.チャウ・パリス
3.チキリン・デ・バチン
4.リベルタンゴ
5.天使のミロンガ
6.オブリビオン
7.ブエノスアイレスの春
8.ブエノスアイレスの夏
9.ブエノスアイレスの秋
10.ブエノスアイレスの冬

パリ留学から帰国する前に書いた「チャウ・パリス」はマイナーめですが、他はクラシックギターでも取り上げられることの比較的多い人気曲ぞろいですね。ピアソラのギターアレンジというと、今までにもベニーテス、アサド、カルレバーロ、そしてカチョ・ティラオなどそうそうたる顔ぶれが名編曲を残していますが、鬼才ディアンスのアレンジとなるとこれらの中でもかなり個性的なものになりそうです。

さっそくざっと目を通してみましたが、予想以上の難曲・・・!ディアンスの作曲・編曲は晩年になるほどより複雑、難解になっていきましたが、このアレンジはある意味その到達点といえそうな出来のようです。巨匠ピアソラに挑むということでディアンスもかなり気を入れて編曲したのかもしれません。

まずほとんどすべてが変則調弦。「ブエノスアイレスの春」が6弦=レ、5弦=ソ、「リベルタンゴ」「ブエノスアイレスの秋」は6弦=レとなっており、これは他のギター曲でもみられる調弦です。しかしそれ以外はあまり他の曲では見られない調弦で譜読みも苦労しそうです。たとえば「アディオス・ノニーノ」は6弦=シと、他の曲ではあまり見られないほど非常に低く調弦しますし、「チキリン・デ・バチン」は6弦=レ、5弦=シというめずらしい調弦です。ハーモニーの付け方、音響的な効果も熟考されているようで名アレンジの予感はしますが、さすがに初見では音楽にはできなさそうです。巨大パズルを解き明かす気持ちで、じっくり取り組まないといけないでしょう。とりあえず「アディオス・ノニーノ」「チキリン・デ・バチン」あたりから手を付けていきますが、長期戦覚悟ですね!

残念なのが、もうディアンス自身によるこのピアソラ・アレンジの演奏が聴けないこと・・・どんな素晴らしい世界が描き出されていたことか!!
(たとえば「ブエノスアイレスの春」では「チュニジアの夜」のアレンジにあったような左手のタッピングでメロディを奏でながら、右手で複雑なリズムのパーカッションを入れるトリッキーな部分がありますが、素晴らしい名演になったでしょう・・・)