以前書いた記事『音楽活動とお金の問題①価値を決めるのは自分』は予想以上の反響がありました。
Facebook上でもたくさんのリアクションをいただき、メッセージやコメントをいただいて私もさらにいろいろと考えさせられました。

いくつかのいただいたコメントを集約すると
「金銭の授受=責任の発生」
という図式が見えてきました。

演奏を依頼される方は単純に演奏のみの評価ではなく、その演奏において音楽家が果たすべき責任に対してお金を払っているのです。演奏で100パーセントのパフォーマンスを発揮してお客様に喜んでいただくというのはもちろんですが、それ以外にも「時間を守る」「スタッフと円滑にコミュニケーションを取る」「主催者の意図をくみ取ってステージを構成する」などの細かい責任もあるでしょう。
残念ながら音楽家側にも問題があり、責任感のない一部の音楽家が全体の信頼度や評価を下げているという面もあるようです。(遅刻、ドタキャン、連絡の不備、手抜きなど・・・)

前の記事で上げた「無料で演奏を提供する音楽家」との差別化をし「演奏で食える音楽家」を目指すなら、この「責任を果たせる音楽家である」ということを、時間をかけて証明していくことが大きなポイントになりそうですね。


■音楽家は責任を取れない!?
以前ホテルなどでのイベント企画の事務所で働いている方とお話しする機会がありましたが、
「ホテルなどの大手の依頼主は基本的に音楽家個人とは契約を結びたがらない。もしその音楽家がドタキャンや大きな失敗をした場合、責任を取ることができないからだ」とおっしゃっていました。

このため大手の依頼主は音楽家との間に音楽事務所などの仲介業者をおいて、不測の事態には代役を呼ぶ、金銭的な補償を行うなどの対応を取ってもらえる形にしたいそうです。

これは演奏そのもの以上に責任の所在を重視しているといえるでしょう。
そのこと自体は一概に悪いことではなく、会社組織としては当然の判断といえるかもしれません。

ただ「だから仕方ない」とあきらめるのは少し早すぎるように思います。
個人の音楽家であっても一般の企業や商店と同じく「信頼と実績」をコツコツ積み上げていくことで、責任を果たせる音楽家であることを証明していくことはできるのではないでしょうか?


■自分の信頼性を上げるために

自分自身の信頼性を高めることが、音楽を職業にしていく上で最重要なのは言うまでもありません。
個人で演奏依頼やレッスンの依頼をいただき収入を得るためには、多少の運の要素はあるにしても、それだけではなく時間をかけた地道な努力が必要でしょう。

現時点で考えた、そのための方法を整理してみました。(今後追記していくかもしれません)
例によって「自分へのいましめ」も含んだ内容です。


① 信頼できる音楽事務所に登録する
② 演奏実績を積む
③ お越しいただいた方を大切にする
④ 普段の言動にも責任を持つ
⑤ 自ら情報を発信する



①・・・音楽事務所は当然大きな力になりえますし、うまくいけばコンスタントに仕事を得ることもできるようになるかもしれません。ただ音楽事務所は本当にたくさんあるので、うまく自分の活動のスタイルに合う事務所と出会うのは時間がかかるかも知れません。私の場合も音楽事務所から回していただいた仕事で、非常にポジティブな結果が出せたこともあれば、うまくいかずもどかしい思いをしたこともあります。その事務所の方針との相性の問題もあるようですね。


②・・・年に1,2回しか演奏しないのと、月に数回以上演奏するのとでは大きな違いがあります。
地道に演奏回数を重ねているということも大きな信頼となるでしょう。
もちろん一つ一つの演奏が適当なものでは意味がありません。
仕事をいただいたら全力で取り組みよい結果を出す、自主企画の演奏会ならしっかり集客し一人でも多くの方に聞いていただく。これの繰り返しです。
ただし赤字になるようなら考え直しましょう!自分を安売りする必要はありませんし、一円でもプラスになるように知恵を絞るのがプロだと思います。


③・・・お越しいただいた方を大事にするというのは、音楽家の果たすべき最も大切な責任ではないでしょうか?
自分のためにお金や時間を割いて来ていただいた方には、常に心からの感謝を伝えないといけません。
そのときだけのお客様というわけではなく、何度も足を運んでくれる大切なファンになっていただけるかもしれない方たちなのです。(だれだって買い物をしたとき店員にそっけない態度を取られたら嫌な気分がしますし、二度とその店に行きたくないと思うかもしれません)
演奏の前後はどうしても心が乱れるものですが、演奏の出来不出来に一喜一憂する前に、まずこの大切なことを忘れないようにしましょう。


④・・・音楽家は常に人の目に触れている職業だということを忘れてはいけません。
音楽以外の面でも常にだれかに見られている意識は持たないといけないでしょう。
だらしない振る舞いや無責任な言動は自分の評価を著しく下げることになります。
もちろんSNSなどでのネガティブな発言にも注意しましょう。だれも「嫌なやつ」にわざわざお金を払って会いに来てくれるはずはないのです。


⑤・・・「何をしているのかよくわからない人」では音楽を聞いてもらう以前の状態でしょう。
「自分がどういう音楽家で、どういったことを聞いてもらいたいか」あるいは「自分がどのような活動を行い、音楽・文化に貢献してくか」は常に情報発信し続ける必要があります。ちりも積もれば・・・でいずれ誰かの目に留まることもあるでしょう。
実際私自身SNSを通じて依頼が来たことも何度かあるので、継続することは重要なようです。
音楽活動とセルフプロデュース」の記事でも書きましたが、こういった情報発信は義務感からやるのではなく、「表現活動の一環」として考えた方がいいでしょう。



■プロとしてのふるまい
地道に音楽活動を行い実績を作っていくことで、「プロとしてのふるまい」が身についていくと信じています。

私の知るプロのトップ演奏家として活動している方の多くは、お客様、主催者はもちろん、運営スタッフ一人一人にいたるまで、関わってくれたすべての人に対する気遣い・感謝が徹底していたように思います。
もちろんこれは卑屈にペコペコしているという意味ではなく、自分の演奏や音楽活動に対する自信を持ちつつ、自然にそういうふるまいができるということです。
これが本当の責任あるプロとしての姿ではないでしょうか?

「どこかの馬の骨」ではなく「プロとしてのたたずまいを自然に出せる存在」を目指したいと思っています。

音楽活動とお金の問題①価値を決めるのは自分
音楽活動とお金の問題③持続可能な音楽活動とは?

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