ギタリストとして活動を開始した初期のころ共演したミュージシャンが言っていたことですが、

「プロの音楽団体(バンド、アンサンブル、合奏など)がダメになる原因は結局は金の問題が多い。
演奏に対してそれに見合った謝礼が支払われない、金のやりくりを一人にまかせすぎる、メンバーのお金に対する考え方が違いすぎる、こういったことが団体の崩壊につながる」

・・・これは全くその通りだと思い、以後「お金の分配」は自分の音楽活動の崩してはいけないルールの一つになっています。

もちろん音楽家は「美しい表現と演奏技術の追求」や「新しいことへの挑戦」など音楽的な目的のために演奏活動を行っており、それは第一の目標であるべきだと思います。
しかし、いかに有意義な活動であっても前述の金銭的な問題は常につきまといます。
せっかく素晴らしい目的のために腕を磨き、仲間を集めたのにお金の不満で数回の活動で解散・・・なんてもったいなくはないでしょうか?

持続可能な音楽活動」のために何ができるかを考えてみました。


◆利益を目指そう

バンドなりアンサンブルなりを立ち上げても最初は集客に苦労することが多いでしょう。
最初の何回かは赤字覚悟でチャレンジしないといけないかもしれません。
しかしいつまでも「お金にはならないけど楽しいね!」というスタンスで、果たして長期にわたって活動を続けることができるでしょうか?
音楽活動を持続させるためにも、「お金にならないけど楽しい」ではなくて「お金になってさらに楽しい」を目指さなければ限界が見えてくるでしょう。

特にメンバーが音楽をメインの仕事にしている人たちなら、「メンバーに我慢してもらう」演奏活動では、最初の1、2回はよくても3回、4回と続けていくうちにみんな息切れしてくるでしょう。
少なくとも「次は今回よりもプラス〇〇円は実入りがあるように頑張ろう」と演奏会の終了後に次回の目標を立てる必要はあります。

まず第一に考えなくてはいけないのが集客です。
一度来てくれた方が再度足を運んでくださるように、同じ方だけではなく新しくお越しいただける方を一人でも増やせるように、次回の演奏会を企画しなくてはいけません。



◆コストを下げよう
【収益-費用=利益】ですから、いくら収益が増えても費用が高ければ一人一人の取り分も少なくなります。
例えば10万円の収益が上がっても会場費・宣伝費・交通費・人件費等で費用が9万円もかかっていては、経営に成功したとは言いにくいでしょう。
逆に費用をできるだけ下げることができたら、利益はそれだけ上がります。
10万円の収益でも費用を3万円に抑えられれば、利益は7万円。違いは大きいです。

下げられそうな費用を考えてみると、例えば会場費。
いい待遇で借りることができる場所を探して、常にアンテナを張り巡らしておくことは大切です。
もちろん立派で大きな会場で演奏するのも魅力的ですが、毎回それではかなりきついでしょう。
都市部であれば、自分たちの活動内容とバランスの取れる会場はけっこう見つかると思います。
ホール、ライブスタジオではなく、タイアップできる飲食店・ギャラリーなどを探すのも一つの手です。

また宣伝・PRも外注できるほどの余裕が出てくればいいですが、最初は難しいでしょう。
ホームページやチラシの作成はできるだけ自分で行う、ブログ、SNSを活用した広報を行う、YouTubeなどにPR動画を上げる・・・これらは無料または安価で始められて効果も高いですが、意外と活用していない音楽家も多いようです。



◆高いコストはここ一番の勝負に使おう
もちろんお金をケチってばかりでは成長性がありません。
ときにはある程度の金額の投資は必要ですが、その使いどころは見極めないといけません。
大掛かりな演奏会を企画する、CDを作成する、演奏のための機材を購入する、宣材の作成を外注するなどなど・・・
コストをかける場合はそのコストに見合ったリターンを予想しなければなりません。(演奏会の開催やCD制作ならどれだけの収益を上げることができればプラスになるか、機材や宣材は有効利用できそうかなど。)
リスクとリターンのバランスが取れていれば、ここ一番の勝負でコストをかける価値があります。
逆に「ハイリスク・ローリターン」になりそうなら立ち止まってもう一度考え直すべきです。



◆お金のことはみんなで考える
利益が上がることを「みんなで」意識するということは重要です。
「お金のやりくりはAさんにまかせた!」ですませて、他のメンバーは演奏会当日までのんびり待っているだけでは、やがてAさんのモチベーションが下がってしまいます。
集客、宣伝、次の仕事探しは大なり小なり全員の責任として、役割を分担していくべきでしょう。
お客さんを呼ぶのが得意な人、インターネット広報に強い人、人脈が広い人など、それぞれ得意分野を活かせれば大きな強みになります。
また「お金のことを言い出しにくい雰囲気」を作り出すのも好ましくありません。
全員が金銭についてシビアに意識し、そのことを自由に発言できる環境である方が、長く活動を続けることができます。
「ある人は収入を上げたいが、別の人はまったく気にしない」というのもトラブルの元なので、腹を割って話し合う必要がありますね。


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「利益を度外視で演奏活動を繰り返していたら、いつの間にか利益の上がる仕事がどんどん舞い込んでくるようになった」という虫のいい話は実際にはそうそうないでしょう。
ほとんどの場合は幸運をつかむ前に運営が立ち行かなくなって自然消滅してしまいます。

初期の段階からしっかり計画して目標を立てながら活動を繰り返せば、着実にステップアップすることができるでしょう。(もちろん演奏技術・音楽性の向上・お越しいただいたお客さんを満足させることも目指さないといけないのは言うまでもありませんが!)

演奏活動は「お金儲け」が第一の目的ではなく、「自分たちの目指す音楽性の実現」が最大の目的であるべきですが、目的の実現まで音楽活動を持続させるための資金繰りを考えるのはとても大切だと思って います。

音楽活動とお金の問題①価値を決めるのは自分
音楽活動とお金の問題②音楽家と責任


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