ギターをちょっとでも触ったことのある方ならおなじみのタブ譜
次の図の下段のような楽譜で、上の五線譜に対応して押さえるべき弦とフレットの位置関係が視覚的にわかるようになっています。
横線は上から順に1弦から6弦を示しており、数字は押さえるべきフレットを表しています。(0は解放弦)
例えば1小節目は順に5弦開放、3弦2フレット、2弦開放、2弦1フレットを弾いていけばいいわけです。
タブ

五線譜を読めない方でもこの読み方さえ覚えれば、とりあえず曲に取り掛かかれる手軽な楽譜なので、私の教室にも「タブ譜でレッスンしてほしい」という方がたまに来られます。
それに対する私の方針は「最初はタブ譜でもいいけど、段階的に五線譜にも慣れていきましょうね」という感じです。

たしかにタブ譜は便利な面もあるのですが、これだけで音楽を正確に理解するのは少し無理があります。
特にクラシックギターの難曲など複雑な奏法が要求される曲の場合、タブ譜だけで指導することは困難です。(そもそもタブ譜化されていない曲も多い)
今回はタブ譜のメリットとデメリットについて書いていきましょう。



◆タブ譜は古い時代の楽譜?

wikipedia「リュート」より

タブ譜は正式にはタブラチュアといい、さかのぼること14世紀頃にリュートという楽器の奏法を表示するために使われ始めました。
タブ譜はあくまでギターやリュートのような楽器の奏法を記しているだけなので、鍵盤楽器の奏者にタブ譜を見せても演奏することはできません。その意味で限定的で不完全な楽譜なのです。

やがて記譜法が統一され音楽を詳細に記述できるようになると、五線譜を用いた楽譜の出版が盛んになり曲をより正確に残せるようになりました。
五線譜の方がタブ譜よりも後になって完成した記譜法だけに、より完成度が高く伝えられる情報も多いといえるでしょう。


◆なぜギターはタブ譜を使うのか

ピアノの場合は初心者の方もまずは五線譜を読みながら練習を始めるのが普通でしょう。
それに対してなぜギターはタブ譜を使う人が多くなるのでしょうか。

同じ和声楽器であるピアノとギターを比べてみましょう。
Aはピアノの音階の配置、Bはギターの音階の配置です。

タブ4

 
タブ3


2つの図を見比べてみるとわかりますが、ピアノが一列に音階が並んでいるので一目瞭然で音を覚えることができますが、ギターは音階がバラバラに配列されているので視覚的に覚えにくい楽器です。
特に初心者は音の場所を探すだけでも精一杯なので、五線譜の読み方も勉強するとなると頭がこんがらがってしまう!という方が多いのもうなずけます。
その点タブ譜は素早く音の場所がわかるので、初心者にはとっつきやすい楽譜と言えるでしょう。



◆タブ譜のデメリット
それではなぜタブ譜だけで練習してはいけないのでしょうか?

タブ譜は視覚的に押さえる場所を理解するのには適していますが、次のようなデメリットがあります。


①音の高さが視覚的にわかりにくい

次の楽譜を見てみましょう。
タブ (2)
上段の五線譜を見てもらうと、最初の小節の上声部のメロディがシ、ド、レと上昇しており、次の小節がレ、ド、シと下がっていることは視覚的にも理解しやすいと思います。
ところが下段のタブ譜を見ると、同じメロディが同じ線上に記載されているため、上昇しているメロディなのか下降しているメロディなのかが、ちょっと考えないとわかりにくくなっています。
メロディの音高を感覚的に理解するには五線譜の方が適しています。
特に複雑なメロディを初見で即座に理解するには、タブ譜はかなり不利といえるでしょう。


②リズムが理解しにくい

タブ譜派の人はリズムを音符ではなく耳で聞き覚えて練習していることが多く、リズムが不正確になっていることがあります。
タブ譜でも日本式の記譜法だと棒やはたを補ってリズムも表記できるようにしていますが、結局はそれぞれの音符の長さ(音価)や拍子の記譜法を理解していないと、正確にリズムを読み取ることはできません。
リズムの読み方だけを覚えるよりも、もう少し頑張って通常の五線譜の読み方をマスターした方が音楽の理解力が上がるはずです。


③運指を記載できない。

正しい運指で演奏することで、より効率的で音楽性も高い演奏ができるようになるため、ギターの練習では運指を理解することが非常に大切です。
ギターでは左手を01234、右手をpimaという運指記号で指示することが多いですが、タブ譜の記載ではすでに数字を使用しているため、タブ譜に運指を書き込むことはできません。
タブ譜だけで練習すると「どこを押さえるか」だけに注目してしまい、運指をおろそかにしがちになります。
五線譜とセットになったタブ譜なら、五線譜の方に運指を書いていることもありますが、タブ譜派の人はやはりそちらを全く見ていないことが多いです!

実際これまで見たところ、タブ譜で練習している方は非常に演奏しづらい運指で苦労して演奏していることが多く、「運指について深く考えていなかった」という方が多かったように思います。



④正確に覚える前に指の感覚で覚えてしまう

「タブ譜である程度弾き方がわかったらすぐ暗譜して弾く」という方もいます。
確かに暗譜して弾けたらそれに越したことはありませんが、タブ譜派の人は音楽として覚えるというより指の感覚で覚えてしまうことが多いようです。
そのため譜読み間違いに気づかないまま繰り返し練習してしまい、修正しようにも修正箇所がわからないという悪循環に陥る人が多いようです。

さらに指の感覚だけで覚えてしまうと、ふとしたときの「度忘れ」が起こりやすくなります。
人前では1曲通して弾けないという人は、多くの場合こういった「不完全な暗譜」の状態になっているので、楽譜への取り組み方を見直さないといけません。


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このようにタブ譜は楽譜が読めない方が、「まずはちょっと弾いてみよう」とギターを始めている分には便利ですが、しっかり音楽を理解して複雑な曲をより正確に演奏したいという方ほどデメリットが大きくなると言えるでしょう。

さて、ここまで書いて「あとはがんばって五線譜を読めるようになってください」だけではさすがに無責任なので、次回は「五線譜に慣れる方法」について書いていこうと思います!





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